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鳥のことを話す時、必ず思い出すCMがあります。広告主はサントリーで、確かウイスキーの宣伝だったと思います。BGMはスメタナの『モルダウ』。ゆったりとしたナレーションと、曲の雰囲気にとてもよくマッチした川。流れる川面には一本の小枝が浮かんでいます。
渡り鳥は小枝を持って生まれた国から渡ってきて、祖国に戻るときにその小枝を持って帰る。残された小枝は帰ることのできなかった渡り鳥のもの…そんなナレーションでした。何回見ても、切ない思いで胸がいっぱいになってしまう、素晴らしいCMでした。一連のサントリーのCMがそうだったように、たぶんこれも開高健さんの手によるものだったのではないでしょうか。
ムクドリを追い払う行為がとても悲しく思えたのは、小さい頃に読んだ「むくどりのゆめ」(浜田廣介著)という童話のせいだったのかもわかりません。死んでしまった母の帰りを巣の中で待ち続ける、ムクドリの子どものお話です。
お父さんムクドリは、お母さんは遠いところに出かけたのだと子どもに言って聞かせます。子どもは、枯葉が風に吹かれるその音を母が帰って来た音だと思い、枯れ葉に母への思いを託します。ついに最後の一枚になってしまった枯葉…。子どものムクドリは細長い馬の尾の毛を使って、その枯葉を木にくくりつけるのです。もうどこへも行かないようにと。
擬人化するつもりはありませんが、鳥の命の営みにも、人間と同じような「物語」がきっとあるように思えてならないのです。
10年ぐらい前の話ですが、夕方、都心に近いある町を歩いていましたら、あちらこちらの窓が開いて人が顔をのぞかせ、カンカンカンカンとお鍋やフライパンを打ち鳴らし始めました。なんだろうと思って道を歩く人に尋ねてみると、夕方、街路樹に戻ってくるムクドリを追い払っているのですよ…という答え。
ムクドリがベランダの洗濯物に糞をかけたりして、迷惑だからなのだそうです。そう言えば以前同じ道を通った時、たくさんのムクドリが、ギャアギャアと木の上で鳴いているのを聞いています。鳥を追い払うその行為を、私はなんとも言いようのない寂しい思いで眺めていました